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リカバリーの過程

ストレングス・モデルのケース・マネジメントでは、その人のリカバリーの過程に着目してアセスメントを行い、支援を行なっていきます。ストレングス・アセスメントでは、その人の過去の情報が重要視され、ストレングス・アセスメント・シートにも、そのための欄が設けられています。

参考文献:Rapp,C.A.,Goscha,R.(2006).The Strengths Model : Case Management with People with Psychiatric Disabilities,Second Edition.Oxford University Press(日本語訳:金剛出版『ストレングスモデル』2008)

リカバリーの過程を理解する

リカバリーが、その人の人生を通してどのように展開していくかを理解することはとても重要です。下の図において、波線で表されているのは、ある人の人生だと思ってください。山のように高くなっている部分は、人生の好調期で、その人は、希望に満ち、自分の人生をコントロールできていると感じることができます。逆に、谷のように低くなっている部分は、苦難の時期で、その人は人生に打ちのめされたように感じ、また希望を失います。

人生は旅である

この線によって表わされているものが、精神疾患の症状によって悩まされ、力を奪われている人の人生であるとすれば、その人たちは通常どの時点で精神保健のシステムに接触してくるでしょうか。それは低くなっている時点です。私たち(支援者)は、(精神保健)システムの一部であるため、私たちの人びと(利用者)に対する見解はしばしば偏ったものになりがちです。なぜなら、彼ら(利用者)は、症状がよくなれば、たいてい(精神保健)システムを離れていくからです。州立病院やナーシングホームで働いている支援者のことを考えてみましょう。彼らは、典型的に、谷間の時期にいる人びとの姿しか見ていません。彼ら(患者・利用者)がよくなって、出て行った後のことは、知る由もありません。まして、その人がリカバリーの最中であればなおさらです。彼ら(支援者)が、精神障害というものをどのように捉え、人びとのリカバリーする能力をどのように捉えるかは、このようなことによって形づくられてしまうのです。同じことは、地域における支援サービスにおいても起こりえます。

リカバリーを理解するために、私たちはもっと広い視点(パースペクティブ)を持たなければなりません。まず私たちは、この人(利用者)はサービスを求めてくる前はどんな人であったのかを理解するように努めなければなりません。この人の夢、関心、願望は何であったのか?この人の支えになっていた人は誰だったのか?この人の人生において重要な事件は何だったのか?私たちは、この人が(支援者との)援助関係の中に持ち込んできたものが何なのかを探っていくことになります。基本的に、私たちは彼らのストレングスを探すことになります。また、私たちは、この人の将来について私たちが何を信じているかを、自問自答しなければなりません。私たちは、彼らがリカバリーし、立ち直り、人生を変えていく能力があると信じているでしょうか?私たちが人びと(利用者)について何を信じているかということが、私たちと彼らとの相互作用のしかたに影響を与え、援助関係の性質を形づくることになります。

ストレングス・モデルの実践を行う支援者(原文:ケースマネージャー)は、自分が支援するすべての人に対して、リカバリーのビジョンを抱いていなければなりません。このようなビジョンを抱いていないと、ケースマネジメント実践は、現状維持だけを目指すようになり、成長や達成などを全く考えなくなります。希望に満ちたリカバリーのビジョンを失えば、実践は問題への対処に終始してしまい、目的志向の、前向きな実践にはなりません。リカバリーのビジョンを抱いていれば、その人(利用者)と接するすべての機会が、希望をはぐくみ、(その人の)自信を深め、よりよい人生を創造していくひと足を歩む機会となることが分かるでしょう。リカバリーのビジョンは、ストレングスに基づく私たちの実践のエンジンになるものです。

※以上は、上掲書 p.31以下を私訳したものです。

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